「少し焦げたか？」とネイサン。

「それくらいなら十分おいしいよ！」とナタリー。

「ジャムももうできそうだな」とアテナ。

「じゃあお皿の用意するね！」とロネ。

森に密かに住むアテナが街の人たちを襲っているという噂が流れているなど最初から嘘のようにロネたちは笑い合ってパンケーキを皿に盛り付けていく。

「ジャムとクリーム乗せるよ〜！」

「わあっ！ナタリー、乗せすぎだって！クリームあふれちゃってるし」

「ロネ、うるさいぞ〜」

騒ぐ三人を見て、アテナは優しく微笑んでいた。その視線に気付き、ロネはアテナを見つめる。アテナが口を開いた。

「誰かと料理をするのは初めてだ。……こんなに楽しいものなんだな」

アテナの言葉に、ロネたちは笑うのをやめる。風がザアッと強く吹いた。アテナがどのような暮らしをしていたか、ロネたちにとっての当たり前はアテナには当たり前ではなかったことはよく知っている。