「この歌はナタリーの歌だよ。セイレーンは歌で人を惑わせるんだ」

「すごい力だな」

「ネイサンもきっと剣で戦っているよ」

「あいつの剣の能力も素晴らしいな」

そんなことを話しながら希望を見つけ、二人は森の中をまた歩いて行く。森の精霊たちは戦いに参戦しているためか、森は静まり返っていた。

つないだ手が温かい。胸の高鳴りは互いから聞こえてきた。ロネは頰を赤く染め、「あのさ!」とアテナを見つめた。

「俺、ずっとアテナに言いたいことがあって……。こんな時に言うのもアレだけど……」

アテナが不安がっている時に言うべきではないのかもしれない。しかし、ロネは今言いたくなってしまったのだ。ずっと前から気付いていたこの感情をーーー。

「俺、アテナと出会った時からずっと君のことをーーー」

愛している、そうロネが言った刹那、アテナは目を大きく見開いた。そして、ゆっくりと頭を押さえる。

「アテナ?」