二人は強く手をつなぎ、森の中を走る。互いの息は上がっていた。それでも足を止めることなどできない。

「これからどこへ行けばいいんだ?私には何もわからない」

そう言うアテナにロネは「大丈夫!俺に任せて」と微笑んだ。このまま森を抜けて隣街へ行こうと考えたのだ。隣街へ行けば街の人たちを撒ける。

「絶対に守るからね」

「……ありがとう」

逃亡を始めてから、ロネはずっとアテナに同じことを言っていた。しかし、この言葉で互いが仲間なのだと心に刻まれる。

「少し……休憩……しよう……」

数十分走った後、ロネの足はゆっくりになった。そのまま近くにあった切り株に腰掛ける。アテナもロネの隣に座った。

「あの二人にまた会えるだろうか……」

不安げなアテナに、ロネは「大丈夫だよ!あの二人はああ見えて強いから」と言った。この言葉はアテナを安心させるための嘘などではない。

「ほら、耳を澄まして」

ロネの言葉にアテナは目を閉じて耳を澄ましている。そして、「歌が聞こえる」と言った。