帰宅したのち、リンネは自室で土壌や採取した石の分類をしていた。

古文献を調べる。

龍門山からはいくつかの種の植物が江戸時代には報告されていた。
たしかに龍門山市は緑が濃いのだ。

リンネは満足する。
育てている観葉植物。

観葉植物に水を与える。

梅雨の雨滴。

それが再び自身や土や生き物に巡って来る。
そしてそれが景観ということなのだ。全体性を表現するために小説家はかつては自然の力を借りたものである。

小説家は全体性、つまりゲシュタルトとなんらかの関わりをもつのであろうし、良い小説が書ける、ということは多くは風景や地方性というものを全体性とともにとらえるものである。