少々引いている梓を前にして、僕は皿に乗ったお団子を口に運んで何枚も追加する。

期間限定、2人以上なら食べ放題をしている町の小さな甘味処。

いつも誰もこうして付き合ってくれないから経験出来なかったけど。


まさかこの女の子と来ることになるなんて。

女の子を連れて甘味処に来るのなんか初めてだ。



「お、お客はん…これ以上食べるとお客はんの胃の調子が…」


「え?全然大丈夫ですよ。だって食べ放題でしょう?」


「は、はえ…」



甘いものは大好き。
金平糖もお団子も。

そんな場所に連れて来れば、また梓は目をキラキラと輝かせているから。


本当はそんな顔が見たかったから、なんて。



「ふっ、…あははっ」


「……笑った、」


「…?」



ああ、また戻っちゃった。


この子がこんなにも声を上げて笑うところなんて初めて見た。

年相応に子供のように笑っている。


そうだよ子供は笑っていればいいんだ。
なにも考えないでさ。