『何?照れてる私が面白い訳?』

『それもありますねぇ』


腹が立つので不機嫌そうに神様にそう言えばそれでもなお、そんなことなど気にしてない様子で神様が楽しそうに私に答える。


『ですが私が言いたいのはもっと他のことですよ』

『…何』

『アナタは人の想いを随分歪めて受け取りがちです。前回からずっと。アナタの周りはアナタが思っているよりきっとずっと優しい。それに気づいてまっすぐ想いを受け止めるべきです』

『……』


未だに楽しそうな神様だったがどこか私を心配するような真剣な声にも聞こえ何も言えなくなる。

本当にそうなのだろうか。
私の周りの世界は私が思っているよりもずっと優しい世界なのだろうか。

神様は文字通り神様だ。
私よりも当然だが何でも知っている。だからきっと神様の言う通りなのかもしれない。

だが、私は一度自分のこの目で私に優しくなんてなかった世界を見てきた。
だからどうしても神様の絶対の言葉ではなく、自分の見てきたものを信じてしまう。


『…紅。アナタは少しずつ周りの優しい世界に目を向けなさい。そうしてもっと違う世界を知りなさい』

『…うん』


神様が神様らしく私に告げる言葉に私はとりあえず返事だけはする。