「…かわいい」


目の前に広がっている雑貨屋さんのあまりにも可愛い世界感に思わず感嘆の声を上げる。

淡い色合いとキラキラと優しい輝きを放つ小物やアクセサリー。それらに合わせるように統一されている店内の雰囲気や配色。

可愛すぎる。


「気に入ったか?」


あまりの可愛さに惚けていると隣から私の顔を満足げに覗き込む琥珀と目が合った。


「うん」


私はそんな琥珀に素直に返事をする。


「よかった」


すると私の返事を聞いた琥珀はさらに満足げ笑った。
表面上では平静を装っている私だが珍しい琥珀の綺麗すぎる笑顔に思わずドキッとする。

琥珀のこの表情にこの言葉。考えなくてもわかってしまう。琥珀は私の為にこの雑貨屋さんに入ってくれたのだ。


「ありがとう、琥珀」


琥珀の気持ちが嬉しくて私は笑顔で琥珀にお礼を言った。



*****



それから私は思うように雑貨屋さんの中を見て回ったり、気に入った物や気になる物は手に取ってよく見たりなどして楽しんだ。
そんな私の隣や後ろにはいつも琥珀がいた。


あ、あれ可愛い。


次に目に入った可愛らしいマグカップを手に取って見つめながら私はふと今の楽しいがおかしな状況について考えた。


私は生まれてこの方、女であったが男として育てられたし、それを受け入れて生きていかざるを得なかった。
そのことを最期には嘆いたし、今でもそれは同じ。だがしかし、次期当主である私には拒否権も選択権もない。

琥珀たちは今の時点ではそんな私を同じ次期当主の男てして大切にしてくれている。前回もそうだったからよくわかる。

だが、今の琥珀は少し違うのだ。

私を女の子として大切に扱っている気がする。
そうでなければ私の為にこんなにも可愛らしい雑貨屋さんに連れて来てくれないだろう。