そしてその甲斐あって約5分後。
ついに約5分間冷たい表情で黙ったまま私を見ていた琥珀が口を開いてくれた。
「わかった。もう焼き消そうとはしない」
まだまだ不機嫌そうではあったが、琥珀は能力を私に行使することをやめることにしてくれたようで、琥珀の右手からの放電がやっと消えた。
よかったー!
「…はぁ」
私はそれを見てまずは一安心と小さく息を漏らす。
まだ任務は始まってすらいないのに何だこの疲労感は。
「紅、でもな、例え弟である朱でもそんなことを許すな。自分を大切にしろ」
「…いやぁこれは」
「大切にしろ」
別にこれは朱に襲われてできた跡ではない。そんなこと先程散々説明したはずなのだが、琥珀の頭には入ってなかったようなので琥珀の言葉を私は再び否定しようとした。
だが、また冷たい表情で琥珀が右手から放電をし始め、私に見せつけてきた為、私は出かけた言葉をごくりと飲み込んだ。
ここで否定すれば先程の繰り返しになってしまう。
「…努力はする」
疲れの色を浮かべながらも私は力なく琥珀にそう返事をした。
そんな何とも言えない私の返事を聞いて琥珀は今度こそ放電を右手から消してくれた。
多分納得してくれたのだろう。
今度こそ一安心だ。