「…っ!」


最初は訳がわからなかったが琥珀の視線を辿って気がついてしまった。

琥珀が見ているのは胸の少し上あたりにある朱に付けられた文字通り跡だ。
またの名を、キスマーク。

朱曰くのおまじない。


「これは!朱の!」

「朱?それは朱の仕業か」


慌てて、これは断じてキスマークではない!おまじない!っとすぐに伝えたかったがそれを遮るように琥珀が言葉を吐く。
何故かものすごく不機嫌そうでしかも右手から放電していた。

何でそんなに怒っているのー!
ある意味で一触即発!


「…そういう関係なのか」

「いや…。弟です」

「そうか」


琥珀の言葉を私が気まずそうに否定すると琥珀はますます不機嫌になる。
そしてそれに比例するように右手の放電が強くなった。

…怒っている、のはわかる。けど攻撃されそうになっている意味がわからない。というか一度されている。


「焼く」

「は?」


琥珀はそう言うや否やバチィッ!と再び私に雷を放ってきた。
それを私は咄嗟に避ける。


「何で!」


意味がわからないが攻撃されたので私はさらに琥珀から距離を取って、戦闘態勢になる。
試着室の中なので距離と言っても高が知れているが。