「…っ!」
狭い部屋で大きめのGとの遭遇に動揺しない人間なんているのだろうか。
私はもちろん動揺した。
声にならない悲鳴をあげて能力者を行使する。
ゴキブリには可哀想だが私によってゴキブリは火だるまになり、一瞬で灰になった。
し、心臓が止まるかと思った。
「紅!」
大分静かな動揺だったと思うが私の異変に気がついたようでシャーっ!と勢いよくカーテンを琥珀が開ける。
二次被害の始まりだ。
「…っ!!!こ、琥珀!?」
「紅!妖か!?」
私はほぼ下着みたいな格好を琥珀に見られてしまい恥ずかしさのあまり叫ぶ。
だが琥珀はそんな私なんてお構いなしに焦った様子で試着室に入ってきた。
な、な、な、何で!!
「違う!騒いでごめん!ゴキブリ!」
「…え?」
私もそんな状態でパニックになったがとりあえず琥珀を試着室から出したくて謝りながら琥珀の肩を押す。
ほぼ騒いでないけど!ゴキブリにしては対応が派手すぎたのは認めますから!
「…そうか。取り乱して悪い」
ぐいぐい肩を押す私を見て微動だに動こうとしなかった琥珀だが、少し顔色が悪そうに私にそう言った。
いや!微動だにしろ!
早く出てください!