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「…疲れた」



強化合宿初日の夕方。
琥珀との実戦の後も1度目と同じようにいろいろな相手と実戦をし続けた私は合宿用の施設の食堂の席でげっそりとしていた。

いくら全力を出さなくてもいい相手でも数をこなせばさすがに私も疲れる。

そしてもちろん、私だけではなく、ここにいる生徒全員がげっそりと死んだ顔をしていた。
みんな元気がなく、疲労感がすごい。



「…あー。やべぇ。これ明日もあるんだよな…」



私の隣で私と同じようにげっそりとしているのは武だ。
武はあまり良くない顔色で何とか食事を食べている。



「…」



そんな武を私は食事をしながら横目で見つめた。


誰もが〝明日も〟あると思っている合宿。
だが1度目と同じならばこの合宿は今日で終わる。

最悪な形で。


あの惨劇が起きるのは今日の夜だ。
疲弊しきっている生徒、教師、能力者関係者は今晩強い妖から襲撃を受けて最悪半分は死んでしまう。


私はそれを阻止しなければならない。


今晩のことを考え、なるべく力をセーブして今日1日を過ごした。
疲れてはいるが1度目ほどは疲れていない。
これなら今晩の襲撃にも対応できるはずだ。

いや絶対に対応して未来を変えなければならない。