私にはこの雷から自分を守る術がない。



「…っ」



ならばと私は2度目を始めて初めて全力の火を琥珀に放った。
強く、速い、火だ。


避けられないのなら、私のチョーカーを壊される前に、琥珀のチョーカーを壊してしまえばいい。

実際の戦いに使える技かは微妙なところだが、学校の実戦はこれで勝てる。


琥珀の雷が私のチョーカーに届く前に私の火は琥珀の首元まで向かった。

意表を突かれた琥珀は私の火を避けられず、そのまま琥珀のチョーカーは壊れた。



「…っ!」



琥珀はまさか自分のチョーカーが今壊されるとは思わなかったみたいで珍しく無表情ではなく驚きの表情を浮かべている。

だが、私のチョーカーも琥珀のチョーカーが壊れたほんの1秒後にパリンッと音を立てて壊れた。



「っ!勝者!紅様!」


審判員は私のチョーカーが壊れた後、琥珀と同じく驚いた表情を浮かべ、声高らかに勝者の名前を口にした。



「…紅、さすがだな。やられたよ」

「いや、琥珀もさすがだったね」



実戦が終わり、無表情ながらも、感心している様子の琥珀が私に近づいくる。
私はそんな琥珀に何とかにっこりと笑った。


だが、心の中では琥珀の予想外の強さに冷や汗をかいていた。
まさか今琥珀に対して全力で能力を使うとは思ってもみなかった。


やはり次期当主だけあり私や武よりも一学年上だけあって実力は確かなようだ。