琥珀はやはり近距離戦に持ち込みたいようで私が放った火を避けながら全力で私との距離を縮めようとこちらに走り出す。

だが、それを許す私ではない。

私は琥珀がこちらに近づけないように琥珀が進む道に何度も火を放ちながら、同時に琥珀の首元を狙って火を放ち続けた。


それにより琥珀と私との距離は一向に縮まらない。



「…」



さすが琥珀。
私の火を避けるのに必死になって普通の生徒ならチョーカーが壊される展開だが琥珀にはその危うさがない。

ずっと安定して私の火を避け続けている。


私も完璧に火を放ち続けず、時にはわざとタイミングをずらしたりしながら、1度目の私ならこれくらいだろう力で戦い続けた。


琥珀の顔色は一切変わっていない。


バチバチバチッ!


私との距離が縮まらなくても琥珀は容赦なく強めの稲妻を私に落とす。

いきなり真上から現れた稲妻にさすがの私も驚いて琥珀から一瞬視線を外し、稲妻から逃れることに全力を尽くした。


「…っ!」


その隙をついて琥珀が私との距離を一気に縮める。


速いっ!


思っていたよりも一瞬の動きが速い琥珀に私は驚きで目を見開いた。


今の琥珀の力だとどのくらいの距離でなら雷を正確に操れるのだろうか。


琥珀との距離約5メートルのところまで詰められた所でふとそう思っていると琥珀は右手を私の方へ突き出して雷を私のチョーカーへ向けて放った。



それはとても正確で速く、私のチョーカーまでまっすぐ向かってくる。



この距離でこの正確さ!
ここまでの精密さがこの距離であるとは思っていなかった。