「それでは琥珀様対紅様の実戦を始めます」



私たちの様子を見て審判員は実戦開始の声を上げた。



「…」



さて。
圧倒的な力を見せつけて琥珀に勝ってしまうと、琥珀が思っている今の私の実力とかけ離れた展開になり、きっと違和感を感じてしまうことは間違いなしなのでそこそこで戦う必要がある。


バリィッ!


最初はどのように攻めようか考えていると早速琥珀から青い稲妻が放たれた。

私はそれを難なく避ける。


ボゥ!


そのついでにこちらも火を琥珀に向かって放った。
もちろんついでに放った火なんて簡単に避けられた。


琥珀の能力は雷で、私は火。
どちらも攻撃型であり、防御力は一切ない。

猪突猛進な能力だ。
能力の相性としても可もなく不可もなくといったところ。

武…水の能力者を相手にするよりは随分マシだ。


琥珀を始め、雷の能力者は近距離戦を好む。
琥珀と距離が近ければ近いほど正確に攻撃される。

ここはやはり遠距離戦でじわじわ行こう。
私なら遠距離戦でも戦える。


なるべく距離は詰められない方向で!


そう決めると私は琥珀から距離を取るように後ろへ下がると琥珀の首元目掛けて再び火を放った。