「…は?あ…、あ!…はぁ!?そう言うことかよ!おい!紅!これとりあえず飲め!」


僕たちの様子を見ていた武はほんの少しだけフリーズした後、状況が今度こそ飲み込めたようで慌てた様子で小さめの水を紅に渡す。


「ありがとう、武」

「ああ、もう!お前は本当に!無理すんなよ!」

「えっと、無理したつもりはないんだけどな」

「無理してるからふらついてんだろ!このバカ!」


そしてそこからカンカンに怒っている様子の武による毎度お馴染みの説教が始まった。
これには紅も苦笑いである。


「クソッ!こんなんじゃ氷なんて作れねぇよ!蒼!ちょっと紅連れてあっちで待っててくれ!」


最高に感情が昂っている様子の武が日陰を指さす。氷を出すことは水の能力者の中でもかなり難易度が高い為今の状況では作りづらいらしい。


「わかったよ、行こう、紅」


僕はそんな武ににっこりと笑って返事をすると紅を支えながら日陰に向かって歩き出そうとした。
したのだが。


「…蒼、もう大丈夫だから。俺1人で歩けるし」


それを紅に拒否された。


「…え」


離し難い。


僕はすぐにそう思った。
離したくない。紅をまだ支えていたい。側にいたい。

何で。
そんなこと。