そう気づいてからの僕は早かった。


「琥珀、先生誰でもいいから連れて来て。僕は紅の元へ行ってくる」

「ああ、わかった」


琥珀にさっさと指示を出して窓を勢いよく開ける。そして僕はその窓から身を乗り出し、風の能力を使って自分の身を紅と武の元へ飛ばした。


「うわっ!蒼!?」


いきなり現れた僕に武が驚いたように声をあげる。


「何だよ!?いきなり!?」

「武。小さめの冷たい水を作って。あとできれば氷」

「はぁ!?」


状況が飲み込めず表情を歪める武だが、僕はそんな武にろくな説明もせず、とりあえず紅に冷風を当てようと視線を紅に向ける。


「…」


すると丁度そのタイミングで紅がその場に倒れかけた。


「紅!」


僕はそんな紅を何とか支え、倒れないようにした。

僕に支えられる紅の顔色は近くで見れば見るほどやはり普段のものとは違う。
紅の顔には一切の血色がなく、汗も異常なほど出ている。


「…蒼。ありがとう」


僕に支えられながらもどこか気恥ずかしそうに紅が笑う。


「うん。ちょっと休んだら?」


そんな紅に僕は心配そうに笑いかけ、今度こそ冷風を紅に当てた。
「気持ちー」と紅は未だに顔色は悪いが上機嫌だ。