紅と武は互いに向き合って様々な強さの能力を出し合う、能力のコントロールの練習をしているようだった。

紅も武も真剣な表情で額にはたくさんの汗を浮かべている。

真夏のこの炎天下の中で能力の練習だなんて自分なら絶対にしない。熱中症で倒れる。

水の能力者の武ならまだしも火の能力者の紅の練習は見ているこちらも辛くなるほどの熱を感じる。


だけど何故だろう。
懸命に火を出し続ける紅から何故か目が離せない。

汗が滴る頬も、自身の能力をただまっすぐに見つめ続けるその美しい瞳も、何もかもが何故か僕の目を惹きつける。


「なぁ」

「ん?」


紅から目を離せられないでいると琥珀が俺に声をかけてきた。
いつもの無感情トーンではなくどこか落ち着かない声音で。


「紅の様子おかしくないか?」

「…え」


琥珀にそう言われて改めて紅を注意深く見つめている。

言われてみれば顔色が悪い気がする。
まさか熱中症?