「琥珀は夏休み何するの?」

「…宿題だな」

「それは僕もだね」


僕の質問に少し考えてから無表情のまま答える琥珀に思わず僕は笑ってしまう。
琥珀はいつも必要最低限だ。


ボウ!


突然窓の外に一瞬だけ大きな炎が現れる。
ほんの一瞬だけの出来事だったがその勢いに僕も琥珀も足を止めて窓の方へと視線を向けた。

するとそこには僕…いや僕たちが予想していた炎を出した人物が立っていた。


「…やはり紅か」

「だね。相変わらずすごいねぇ」


僕と同じく窓の外を見つめる琥珀と共に紅の強さに改めて感心する。

紅は初等部に入学するや否やすぐにその潜在能力を爆発させた。未だに紅の力は底が知れず、紅の実力については未知数だと言われている。

だが、紅にはその強すぎる力を操る技術がまだ伴っていない。紅の力の暴走によって焼かれていく建物、部屋を僕は何度も見てきたし、噂もたくさん聞いてきた。

だから紅は力を使いこなす為にも誰よりも努力をしていた。
同級生で水の能力者である武と共に。