「体調はもう良くなったみたいだね」

「まあ、薬も飲んだしね」

「そっか」


蒼がまだ少しだけ熱を持った私の頬に触れる。
私に触れる蒼の指先は少しだけひんやりとしており気持ちがいい。


「まだ熱いね?微熱はあるかな」


蒼は私の頬に触れながらそう言うと私の頬に触れていない方の手を軽くあげた。
すると蒼の能力によってヒューっと優しく涼しい風が私の部屋にゆっくりと吹き始めた。

蒼のひんやりとした指と蒼の能力による冷風は今の私にはとても心地いい。


あんなにも寝たはずなのに私の瞼は徐々に重たくなっていった。


「…あ、おい」

「ん?」

「…ありがと」

「ふふ、どういたしまして。眠れない夜はいつでも僕を呼んでね?」


眠たくなりながらも蒼にお礼を言うと蒼はそれはもう優しく私に笑った。
いつもの胡散臭い笑顔ではなく、多分心からの笑顔で。