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薬のおかげもあり、深い眠りについて数時間。
私は朱以外の誰かの気配を感じで目を覚ました。

人の気配で目が覚めるようになったということは大分体調もよくなってきた証拠だ。


一体誰なのだろうか。
葉月家の医者が再び診察来た、とか?


不思議に思いながらも瞼をゆっくりと開ける。

するとそこにはひどく暗い顔をした蒼が私を見下ろしていた。


こう言うのをデジャブというのではないのだろうか。
3週間前の祭りの任務の後も寝ている私のところに蒼と琥珀が現れたぞ。
今回は蒼だけのようだが。


「なんて顔してんの」

「…あ、紅。目覚めたの?」

「うん」


意味がわからずつい蒼に声をかけると蒼は先程の暗い顔から一変していつもの感情を隠す笑顔を私に浮かべた。


「僕、変な顔してた?」

「してたよ。この世の終わりです、て顔」

「…はは、そっか」


私の発言の何が面白いのかはわからない。だがそんな私なんてよそに蒼はひどくおかしそうに笑う。



「この世の終わりだったのかもしれないね」

「…え」



そして蒼は私の心臓の上を人差し指で抑えた。