「で?何かある?」
『…紅が無事に帰ってくるならそれでいい』
「当たり前のことなのでそれは却下でーす」
『当たり前じゃないからそう言っている。それ以外はいらない』
「ええー…」
拗ねるような声でそう言った龍に私は思わず苦笑いを浮かべてしまう。
信用を本当に失っているぅ。
まあ、仕方ないけどさぁ。
「とにかく今回の任務はまず全く危険じゃないことを伝えとくね。だから傷一つ作らない、作れないから。で、龍へのお土産は私が決めるのでお楽しみに」
『…期待はしていないがその〝傷一つ作らない〟という言葉は忘れるなよ』
コホン、と咳払いして改めて私はにっこり笑って龍にそう言うと、龍から冷ややかな声が返ってきた。
「ふふふふ、期待しててよね?」
それでも私はそんなことは一切気にすることなく不敵に龍に笑ってみせた。
必ず傷一つ作らず、なおかつ龍が泣いて喜ぶスペシャルでファビラスなお土産を選んできてみせる。
そして心の中でそう決意したのであった。