「そう言えば!今度任務でだけど夏祭りに行くんだよね!」
場の空気を明るくしようとパン!と両手を叩いて私は笑顔で祠を見つめる。
『…任務?』
祭りは楽しいよね!夏の風物詩だ!的な楽しいお話を龍としようとしていた私だったが、龍は〝祭り〟ではなく〝任務〟という言葉が引っかかったようで一気に不機嫌になった。
気のせいか祠からも気持ち不機嫌なオーラを感じる。
「あれだよ!龍が心配するような内容じゃないから!今回はパトロールみたいなもので危険はないの!」
『ふーん。信用ならないな』
「何でよ!」
『無傷で帰って来れなかったことを忘れたのか?』
「…!!でも今回は本当に何にもないんだってば!前回もそうだったし」
龍の心配を何とか晴らそうと笑顔で龍に語りかけてみるが龍は不審そうに私に答えるだけで全く心配が晴れる気配はない。
「とにかく!心配ご無用!で、龍はお土産何が欲しい?」
『…は?お土産?』
「そう!龍はお祭り行けないでしょ?代わりに龍が好きなもの買って来てあげるよ」
『はぁ?』
もうどう足掻いても龍を安心させることは無理と判断した私はさっさと雑にその話を終え、本来話したかった話題に無理やり変える。
すると龍は意味がわからないと言った感じで声をあげた。睨むように私を見つめる龍の姿が見えなくてもありありと思い浮かぶ。