「もう、泣かないでくださいよ。あなたの涙に弱いの知ってるでしょ」

「泣いてないもん」

「その顔でよく言う」


志木は側に来てあたしの手を取った


「泣かせてごめんなさい。私は、あなたの為ならなんでもしてあげたいと思います。けどあなたが悲しむのは嫌です。泣かないでください」


私はどこにも行きませんよ。

そう笑う志木は、幼い頃あたしの手を取って守ってくれたあの時と同じ顔をしていた


「じゃあ何隠してるかゆうて」

「それは言えません」

「無理!むかつく!ゆうてよ!」

「無理でもむかつかれても構いません。言いません」

「言ってよ!嫌いになる!」

「それは許しません」


我儘言わないで。そう志木に言われた。我儘じゃないよ。
志木が我儘や。守るために当の本人に何も言わないでどおすんの

守られてばっかりやん


「あなたが悲しまない未来のために、みんな動いているだけです」

「みんな?」

「あなたは沢山の人に愛されていますよ」


だからもう泣かないで。
そう言われて涙を拭かれた。