「し、志木。待って」


必死に振り絞った言葉がこれ
頭の中がぐちゃぐちゃで、何をすればいいのか、何が正しいのかわからへん


あたしの震える声に切なそうな顔をして振り返る志木


「お願い…早く部屋からそいつを出して。お願いやから…」



あたしを1人にせんといて


続けてそう言いそうになったけど、グッと堪える。そんなあたしを見て、一回目を閉じた後、深呼吸した志木は、田畑を押さえる手を離した


ゲホゲホと咳込み倒れこむ田畑


「出て行って」


同じ空気を吸いたくない
顔も見たくないし、声も聞きたくない



「いいから、早く出て行って!!!」



ええからはよ出て行け。そんな言い方せんかったあたしを褒めてほしい。
ほんまにもう、今日は限界や

ほとんど蹴飛ばす形で志木が田畑を部屋から放り出した。



「ごめん、ありがとう」


「ありがとうじゃないでしょ!!あれは何ですか?どう言うことです」


いくら鬱陶しい人だとしても、なんであなたに手を出すんですか。悲しそうに言う志木