麻有子の判断は 正しかった。


病院に着いて まもなく 陣痛は始まり

絵里加の時よりも 短時間で 強い痛みが 続くようになる。



定時で 上がった智之が 来てまもなく 

麻有子は 分娩室に入る。
 

「麻有ちゃん 頑張って。」

痛みに 顔をしかめる麻有子に 

智之は 声をかける事しか できない。
 


「大丈夫。頑張ってくるね。」

麻有子は そう言って 分娩室の扉を閉めた。


立会い出産を拒む麻有子。

今回も 智之は 分娩室の外で 出産を待つ。
 

「今 分娩室に入ったから。絵里ちゃんは 大丈夫?」

母に電話すると
 
「もう?」

と驚く 母の声の後ろで 子供達のはしゃぐ 賑やかな声が 聞こえた。


その声に 安心し 絵里加に 力をもらった智之。


麻有子と 産まれてくる子の 無事を 祈り続ける。