出産に係る 段取りが整い 

麻有子は 心身ともに 安心していた。


お腹の赤ちゃんも 順調に成長していて いつ生まれても 大丈夫と言われていた。
 


「ママ。べべちゃん いつ来るの?」


麻有子の 大きなお腹を 撫でながら

絵里加も 赤ちゃんを 待っている。
 

「早く会いたいね。べべちゃん来たら 絵里ちゃん 仲良くしてね。」


大きなお腹でも 麻有子は 絵里加を抱き上げる。


麻有子の膝の上 そっと お腹に顔を寄せる絵里加は

自分から 膝を下りて 麻有子の隣に座る。
 

「ママ。絵里ちゃん 抱っこすると べべちゃん せまいって言うよ。」

幼い絵里加の 思いやりに 麻有子は感動する。
 

「絵里ちゃん ありがとう。」

と言って 絵里加の肩を 抱き寄せる。


得意気に 麻有子に 微笑む絵里加。


愛しさが 溢れて 心を満たす。


たった二年で この優しさを 身に付けた絵里加。


智之から 受け継いだ 思いやりと

それを 引き出した自分に 少し 自信を持ちながら。