「それとも、丸山さんは俺とどうにかなりたいの?」

「そ、そんなことっ!!」

「ちょっ、人の背中で暴れるな。折れる」

彼女を背負ったことをもう後悔しそうだ。

「っ、な!さっきやわじゃないって言ったのに……!」

「だからって暴れていいとは言ってない」

「……うっ、はい。ご、めん、なさい」

「ちゃんと捕まっててよ」

「ん。ありがとう……ございますっ」

ギュッと俺の服を彼女が握ったのが伝わって。

俺は、丸山さんを抱えながら人ごみの中を歩いた。

会場を出るまで、終始周りからの視線がすごかったけれど、

「え、ふたりともどうしたの?!」

運転席に乗った宗介さんが俺たちを見て何事かと慌てながら車を発進させて。

なんとか〈それ宙〉の相良雫久だということはバレずに、迎えの車に乗り込むことができた。