少し強引に、彼女の手を引いて俺の背中に重心が傾くようにしたら。
あっという間に、背中に彼女の身体が収まった。
「はっ、ちょ、さがっ……!」
焦って大きな声を出した丸山さんだったけど、周りの人がなにごとかとこちらを見たので口籠もって俺の肩に顔を埋めた。
「バレちゃったら大変だよ……こんなっ」
立ち上がると、後ろから小さくつぶやく声が耳に届く。
「別に何もやましいことしてないし。バレたらバレたで説明すればいい」
俺と丸山さんの間には何もないし、今やエンプの関係者である彼女を助けたとして、それがなんだって言うんだ。
そもそも、マスクとメガネと帽子。
今までこの変装でバレたことはまずないから安心してほしい。
それに、ここにいるのは全員angel lampのファン。
例え俺のことも応援してくれる人たちがいたとしても、今は目に焼き付けたばかりの彼らのことで頭いっぱいだろうし。