「ほら」

彼女と同じ目線になるようにしゃがみ込んでから、背中を向ける。

「へ……まさか、相良くんも腰抜かした?!」

「バカか」

あるわけないことを平然とした顔で言う彼女に呆れながらも、そんなちょっとズレてるところも、いちいち、あの子に重ねてしまう。

いつか再会したいって願望からそんな風に見えるだけ。

そう自分に言い聞かせながら、丸山さんの手を取る。

「乗って」

「え、おおお、おんぶってこと?!」

「声でかい」

「だって……」

と周りをキョロキョロ見ながらいう。

こんなに盛大に腰抜かしといて今更ひと目を気にするなよな。

「早く。迎えの車着てるから」

「や、でもっ、相良くんが……」

と丸山さんが俺の名前を小声でつぶやく。

「そんな目立つことしちゃったら、バレちゃうかも、だし……その、シンプルに恥ずかしいし、超絶重いし、大スターのお背中にもし傷なんてつけたら私───」

「あーも。ペラペラうるさい。んなやわじゃないから」

「っ、ちょっ!!」