俺がこの話題を口にすることは、なんぼもダメなのか…!



「世の中は良いですなー?この浮わついた雰囲気。でもそれは何の関係もないとなりゃそりゃ地獄だぜ」

「チカも貰えるかもしれないぞ」

「…へぇへぇ確かに。義理だけどな。美森からは確実に。部員全員に配るってたもんな。…しかし、俺が言ってんのはそんなことじゃねえ。そんなイベント商戦に巻き込まれて浮わついた連中が腹立たしいのよ俺は」

要は羨ましいんだな。

わからんワケでもないけどよ。

「だからって世の中に嫉妬するなよ。そういうの、傍焼きってんだぞ」

「おかやきぃ?…せんべい?ポタポタ焼きみてえなもん?」

「………」

「…じゃあ、心の友よ。降りるわ。明日札幌駅に11時」

「うん。お疲れ」



気づけば、車両は平岸駅にご到着している。

チカはさっきの愚痴八つ当たりなんてなかったかのように、笑顔で手を振って颯爽と降車していった。



世の中のイベント商戦に浮わつく連中が腹立たしいか。

俺も、わからんワケじゃないけど…な。



みんなが先に降りてしまい、一人になった地下鉄の車両で何となくボーッとしてしまった。