咲哉さん、素敵すぎる。

齢二十歳にして、その壮大な夢。

…同じ年齢でも、いつも呑んだくれて遊んでるうちのバカ兄貴とは大違いだよ。

それに、そんな風に思われてる、なずなや菩提さん、陰陽師も幸せだよな。



すごい良い話を聞いて、ほっこりして幸せな気持ちになれた。




…それにしても、陰陽師のサポートか。

俺にも…。



(………)



いや。そんな壮大なことを口に出来る身分じゃねえ。

そんなことを断言するものなら、なずなに『サポート?その長い足で足引っ張んじゃね?』とか言われそう…。

俺にはまだ早いか…。



自分の至らない人間レベルに、ずーんと落ち込んだ。

まずは、この人間レベルをアップさせないと…。

コツコツ頑張ろう。







…しかし。

俺の胸をザワザワさせる騒動が起きるのは、間もなく。

それは、翌日の夕方のことだった。






「…月曜日、バレンタインだなー」



部活の帰り。

俺の横で、地下鉄の吊革にぶら下がりながらため息混じりに言葉を吐く、心の友が。



「…そんなに女子からのチョコ欲しいの?ため息ついちゃってさ」

「うるせーなイケメン」

「………」