朝目覚める。
「 あ、雨だ 」
今日は朝から雨が降っている。
私の日。
雨は、私、佐伯すみれの為に降ってる。
雨の日だけ、会えることを許される。
『 今から行くね 』
たった一言、そう送ってから家を出た。
雨の日だけ、私に愛をくれる人。
雨宮奏斗くん。
雨宮くんとは大学で知り合った。
私たちの関係はとても親しいわけではない。
私は雨宮くんと呼んでるし、
あっちは「佐伯」と、苗字で呼ばれている。
名前で呼んで欲しいとは思わない。
もっと親しくなりたいとは思わない。
だって、、
雨宮くんには恋人がいる。
同じ大学の絵梨奈さん。
私よりも可愛く、スタイルもよく、
とっても明るい活発な女の子。
晴れの日は、絵梨奈さんと
デートをする雨宮くん。
私が相手してもらえるのは雨の日だけ。
いつからこんな関係になったんだろう。
それは去年の夏。
私は、雨宮くんに一目惚れした。
まだ雨宮くんのことを何も知らないのに、
どんどん惹かれていった。
授業が終わり、
気づけば教室に2人きりになった。
これがチャンスだと思い、
私は思いっきって連絡先を聞いた。
「 あ、雨宮く、、ん、、 」
「 んん……? 」
話したこともない人から急に
話しかけられたら誰だって驚くだろう。
雨宮くんも、驚いていた。
「 ず、ずっと、、気になってました!
よければ、連絡先教えてください…! 」
「 あ、俺、、彼女いるよ、、 」
「 えっ、、 」
あ、私、雨宮くんに彼女いるのかどうか、
全然頭になかった……
「 あ、そうなんだ、、
き、急に、ごめんなさい 」
私の恋は呆気なく終わった。
と思った。
「 あ待って!
雨の日だけは、空いてる、、 」
最初、私は彼の言っている意味が
全然わからなかった。
雨の日だけ、空いてる、、?
私が不思議な顔をしていると、
「 雨が降ってる日は、会ってくれない? 」
私、振られてないの……!?
ちょっと雨宮くんの言っている意味は
わかんないけど、、
これから雨が降ってる日は
雨宮くんに会えるんだ!!!
それから、私たちの
秘密の関係が始まった。
そう言えばあの日の空も
雨が降っていたな。