腕を引っ張ったのは陸ちゃんなのに、なぜだか私より驚いてる様子。

「、わりっ」
少しバツが悪そうに手を離す陸ちゃん。

「あはは、いーよ。じゃーね!」
……私早く、陸ちゃんから離れたい。

なぜだかそう思った私は、走って走って、これでもかってくらい走って駅まで行った。

なんでかなんて、分かってる。

後ろから陸ちゃんがなんか叫んでるのも知ってる。

だけど、やっぱり、あの場所で陸ちゃんの側にいるのは、キツイよ……。


駅のホームに着いた時、不意に後ろから声がかかる。
「あれ!!まな!?」

振り向いた先にいたのは、雅。
でも、なんでこんな時間にいるんだろう。
私と雅は駅を境に真反対だから、朝はいつも駅で待ち合わせをしている。
今日は、待つつもりで来たのに。
いつもより早く出たし、めっちゃ走ったし。

その疑問をぶつけてみた。
「なんでこんなに早いの?」

ちょっと焦ったように目を泳がせる雅。

「あー、たまたま早起きしたから?」

「…ふーん。」

疑問形で聞いたのに、疑問文で返すなっ!

っていうのは、言わないでおく。


「あーーっ!」
後ろから聞こえる煩い声。
…この声は。