次の日、いつもより勉強したこともあって早寝したおかげで朝早く目覚めた私は、いつもより早く家を出た。
外に出て、まっさきに目についたのは桜の木。
いつもは急いでて見てる暇なんてなかったけど、それはとても美しかった。
「綺麗―…。」
どのくらい、そうしてたであろうか。
不意に後ろから声をかけられた。
「まな?」
バッと条件反射で振り向いた先にいたのは、眠たそうな陸ちゃん。
「初めてだね、朝から会うの。」
「そうだな。お前いつも遅せぇしな(笑)」
そういって、陸ちゃんは目を細めながら笑った。
陸ちゃんの、そんな表情が私の好きな表情の一つだった。
陸ちゃんの笑った時に出るえくぼも、
真剣な時のあの吸い込まれるような目も、
全部全部好きだった。
この桜の木の前で、陸ちゃんとの思い出が沢山あるここで、こんな事を思い出す私ってなんなんだろう…。
「まな?大丈夫か?」
心配そうに顔を覗く陸ちゃん。
そこでトリップしてた事に気付いた私。
「だ、大丈夫だよっ!じゃあ私はいくね!」
そう言って、勢いよく走り出した私の腕を、ガシッと陸ちゃんが捕まえた。
「陸ちゃん・・・?」