刺されたナイフはもともと、先が丸く人をさせるようなものではなかった。


いつからかそのナイフにはヤスリがかけられていた。


先が丸くおもちゃのようなナイフは鋭く尖り、いつのまにか先の鋭いナイフは複数のナイフへと数が増えていた。


超えてはいけない境界線を超えることに時間は必要ではなかった。


その境界線を越えてからは彼女に対し毎日のようにナイフが投げつけられた。


複数のナイフでどれだけ攻撃されても、彼女がひるむことはなかった。


いつしかナイフだけではなく、鈍器のようなもので殴られたりもした。


しかし彼女は歩き続けた。


歩き続けた先の希望を追い求めて。


彼女がえぐられた傷口を自ら修復し、未来を見て、

希望を持ち、

前に進んだとしても、

先は暗闇でしかなかった。