聡は あのバレンタインデーの後 啓子を 意識するようになった。 八年も 同じ職場で 働いていたのに。 啓子は 気持ちを 告げてくれたのに。 それまでの 聡にとって 啓子は ただの同僚でしかなかった。 あの日 聡は どうして 啓子に 話したのだろう。 誰にも 話したことのない思い。 多分 啓子は 知りたくない思いなのに。 聡は 啓子の心さえ 思いやれなかった。 自分の苦しみを 誰かに聞いて欲しくて。