次の日の朝、あたしは、お風呂の用意をして、お風呂に行った。
広い脱衣所、広いお風呂に、あたしの胸は、踊った。
「(わー…。)
(おっきいーーーーっ!!)」
あたし以外の禿は、自分の担当の姉さんの体を洗っていた。
あたしは、自分の髪と体を洗って、湯船につかり、その様子を見ていると、ひさのが話しかけて来た。
「かがり。
あまり長湯をすると、のぼせるよ?
早く出な。」
「はい。」
あたしは、ささっと、お風呂を出て、着替えた。
みんなは、まだ、出てきそうになかったので、あたしは、若い衆のとこに行った。
そして、若い衆の部屋の前で声をかけた。
「あのー…。
おはよう…。
誰か、起きてる?」
すると、障子が開き、池田が出てきた。
「これは、かがりさん。
おはようございます。
どうしたんですか?」
池田は、笑顔で応えた。
「あの…、大きな門の近くにある、桜が見たくて…。」
「分かりました。
ご一緒致しましょう。」
あたしと池田は、大きな門のとこに向かった。
行く途中、昨日、おみつと話していた、大きな門の近くの店の人が居た。
「おっ、昨日の子じゃないか。」
「おはようございます。
近江屋で、引っ込み禿を務めさせて頂いております、かがりと申します。」
あたしは、深々と頭を下げた。
「ほう…。
かがりって名になったんですかい。
しかも、引っ込み禿。
すげぇっすね。
こかぁ、四郎兵衛会所てぇとこで、吉原専用の番所でさぁ。
悪いことしたら、あっしらの出番ってぇことですわ。
悪いことは、しねぇようにして下せぇ。
それと、あっしの名前は、たのすけと言いやす。
あっしら、会所の者には、呼び捨てで構いやせんし、敬語も要りやせん。
今後も、よろしくお願いしやす。」
「こちらこそ、よろしく。」
あたしは、笑顔で応えた。
たのすけは、二十五歳くらいに見え、池田と同じきりりとした目をしていた。
「かがりさん、そろそろ…。」
「ええ、そうね。」
あたしと池田は、たのすけに、一礼して、桜を見て、見世に帰った。
見世に帰ると、朝ご飯の準備はもう出来ていた。
表を読んでいると、ききょうと、ふみと、あづまは、顔が青ざめていた。
席について、ご飯を食べ始めると、ききょう達は、顔を伏せた。
あたしは、何故、顔を伏せたのか、分からなかった。
そこへ、おせんが来て、「朝ご飯を食べ終わると、楼主のところに行きな。」と、あたしと、ききょうと、ふみと、あづまと、あおは姉さんが呼ばれた。
呼ばれた、あたし達は、楼主のところに行った。
楼主は、ききょうと、ふみと、あづまの名前を呼んだ。
「かがり。
昨日の、着物の件だが、こいつらがやったと分かった。」
「えっ…。」
あたしは、驚いた。
「おめぇさんの着物と小物代は、こいつらの姉女郎のあおはに、払わす。
いいな?
あおは。」
「なんでよ?!!
やったのは、この三人でしょ?
この三人に払わせてよ!!」
「おめぇさんが、この三人にやらせたんだろ?」
「そんなことしてないわよ!!
勝手に、この三人がやったんでしょ?!」
「この三人から聞いたんだ!!
いい加減にしろ!!
裏は、取れてんだ!!
おめぇさんは、今日から、局(つぼね)だ!!」
「そんな…。
期間は?
すぐに戻してもらえるんでしょ?」
「おめぇさんのやり方は、陰湿で卑怯だ!
許されるもんじゃねぇ!!
無期限だ!!」
「そんな…。」
楼主は、若い衆の池田を呼んだ。
「おい!!
池田!!」
「へいっ!」
「局の部屋を一つ作れ。
それと、かがりの部屋に、鍵を、表裏に、
付けろ。
かがり、今後こんなことがないように、鍵を使え。」
「は…、はい…。」
あおはは、あたしの方を、睨みつけていた。
「じゃあ、かがりさんから、行きましょうか?」
「はい。」
あおはとすれ違う時、あおはは、あたしのことを睨みつけて、「お前なんか、絶対に許さないっ!!」と言ってきたので、反論した。
「じゃあ、同じ土俵に立った時、楽しみですねぇ。
あおは姉さん。」
あたしは、「くすくす。」と笑った。
楼主も、おせんも、あおはも、ききょう達も、驚いた。
あたしは、「この人だけには、負けたくない!!」そう思った。
あおはは、顔を真っ赤にして、激怒した。
「引っ込み禿だからって、調子乗んなよ?!!」
「姉さんこそ、気を付けて下さいね?
あたしが、男の人と遊ぶようになった時、格子太夫の戻ってたらいいですね?」
あたしは、「くすくす。」と嫌味たっっぷりに笑った。
そして、池田と部屋に戻った。
「かがりが、あんな事を言うたぁなぁ。
流石、引っ込み禿。」
あたしの部屋には、南京錠を付けてもらった。
あおはは、局の部屋の準備が出来てから、嫌がりながら、池田に連れていかれた。
局とは、格子太夫より、一つ下の階級で、張見世と呼ばれる、外から見える、部屋で待つ事はなく、ただ、自分の部屋を与えられただけの遊女で、客を付けられるのを待つ遊女のこと。
太夫になるには、かなりの努力が必要となる。
あおはが、局になった事は、すぐに、広まった。
中には、指を指して笑う者も居た。
あおはは、激怒し、そのまま接客をし、お客を怒らせた。
楼主は、あおはを仕置部屋に入れた。
こうなれば、益々、太夫にはなれない。
あたしは、ききょう達のことを許した。
ききょう達は、それぞれ、別の姉さんの下につくことになった。
ききょうは、ゆきの。
ふみは、水連。
あづまは、ひさのの下に、着くことになった。
広い脱衣所、広いお風呂に、あたしの胸は、踊った。
「(わー…。)
(おっきいーーーーっ!!)」
あたし以外の禿は、自分の担当の姉さんの体を洗っていた。
あたしは、自分の髪と体を洗って、湯船につかり、その様子を見ていると、ひさのが話しかけて来た。
「かがり。
あまり長湯をすると、のぼせるよ?
早く出な。」
「はい。」
あたしは、ささっと、お風呂を出て、着替えた。
みんなは、まだ、出てきそうになかったので、あたしは、若い衆のとこに行った。
そして、若い衆の部屋の前で声をかけた。
「あのー…。
おはよう…。
誰か、起きてる?」
すると、障子が開き、池田が出てきた。
「これは、かがりさん。
おはようございます。
どうしたんですか?」
池田は、笑顔で応えた。
「あの…、大きな門の近くにある、桜が見たくて…。」
「分かりました。
ご一緒致しましょう。」
あたしと池田は、大きな門のとこに向かった。
行く途中、昨日、おみつと話していた、大きな門の近くの店の人が居た。
「おっ、昨日の子じゃないか。」
「おはようございます。
近江屋で、引っ込み禿を務めさせて頂いております、かがりと申します。」
あたしは、深々と頭を下げた。
「ほう…。
かがりって名になったんですかい。
しかも、引っ込み禿。
すげぇっすね。
こかぁ、四郎兵衛会所てぇとこで、吉原専用の番所でさぁ。
悪いことしたら、あっしらの出番ってぇことですわ。
悪いことは、しねぇようにして下せぇ。
それと、あっしの名前は、たのすけと言いやす。
あっしら、会所の者には、呼び捨てで構いやせんし、敬語も要りやせん。
今後も、よろしくお願いしやす。」
「こちらこそ、よろしく。」
あたしは、笑顔で応えた。
たのすけは、二十五歳くらいに見え、池田と同じきりりとした目をしていた。
「かがりさん、そろそろ…。」
「ええ、そうね。」
あたしと池田は、たのすけに、一礼して、桜を見て、見世に帰った。
見世に帰ると、朝ご飯の準備はもう出来ていた。
表を読んでいると、ききょうと、ふみと、あづまは、顔が青ざめていた。
席について、ご飯を食べ始めると、ききょう達は、顔を伏せた。
あたしは、何故、顔を伏せたのか、分からなかった。
そこへ、おせんが来て、「朝ご飯を食べ終わると、楼主のところに行きな。」と、あたしと、ききょうと、ふみと、あづまと、あおは姉さんが呼ばれた。
呼ばれた、あたし達は、楼主のところに行った。
楼主は、ききょうと、ふみと、あづまの名前を呼んだ。
「かがり。
昨日の、着物の件だが、こいつらがやったと分かった。」
「えっ…。」
あたしは、驚いた。
「おめぇさんの着物と小物代は、こいつらの姉女郎のあおはに、払わす。
いいな?
あおは。」
「なんでよ?!!
やったのは、この三人でしょ?
この三人に払わせてよ!!」
「おめぇさんが、この三人にやらせたんだろ?」
「そんなことしてないわよ!!
勝手に、この三人がやったんでしょ?!」
「この三人から聞いたんだ!!
いい加減にしろ!!
裏は、取れてんだ!!
おめぇさんは、今日から、局(つぼね)だ!!」
「そんな…。
期間は?
すぐに戻してもらえるんでしょ?」
「おめぇさんのやり方は、陰湿で卑怯だ!
許されるもんじゃねぇ!!
無期限だ!!」
「そんな…。」
楼主は、若い衆の池田を呼んだ。
「おい!!
池田!!」
「へいっ!」
「局の部屋を一つ作れ。
それと、かがりの部屋に、鍵を、表裏に、
付けろ。
かがり、今後こんなことがないように、鍵を使え。」
「は…、はい…。」
あおはは、あたしの方を、睨みつけていた。
「じゃあ、かがりさんから、行きましょうか?」
「はい。」
あおはとすれ違う時、あおはは、あたしのことを睨みつけて、「お前なんか、絶対に許さないっ!!」と言ってきたので、反論した。
「じゃあ、同じ土俵に立った時、楽しみですねぇ。
あおは姉さん。」
あたしは、「くすくす。」と笑った。
楼主も、おせんも、あおはも、ききょう達も、驚いた。
あたしは、「この人だけには、負けたくない!!」そう思った。
あおはは、顔を真っ赤にして、激怒した。
「引っ込み禿だからって、調子乗んなよ?!!」
「姉さんこそ、気を付けて下さいね?
あたしが、男の人と遊ぶようになった時、格子太夫の戻ってたらいいですね?」
あたしは、「くすくす。」と嫌味たっっぷりに笑った。
そして、池田と部屋に戻った。
「かがりが、あんな事を言うたぁなぁ。
流石、引っ込み禿。」
あたしの部屋には、南京錠を付けてもらった。
あおはは、局の部屋の準備が出来てから、嫌がりながら、池田に連れていかれた。
局とは、格子太夫より、一つ下の階級で、張見世と呼ばれる、外から見える、部屋で待つ事はなく、ただ、自分の部屋を与えられただけの遊女で、客を付けられるのを待つ遊女のこと。
太夫になるには、かなりの努力が必要となる。
あおはが、局になった事は、すぐに、広まった。
中には、指を指して笑う者も居た。
あおはは、激怒し、そのまま接客をし、お客を怒らせた。
楼主は、あおはを仕置部屋に入れた。
こうなれば、益々、太夫にはなれない。
あたしは、ききょう達のことを許した。
ききょう達は、それぞれ、別の姉さんの下につくことになった。
ききょうは、ゆきの。
ふみは、水連。
あづまは、ひさのの下に、着くことになった。