「私は、もみじ。
八歳だよ。」
もみじは、たれ目で、ぷっくり唇で、口元の右下にほくろがあり、色白だった。
「あたいは、あざみ。
七歳だよ。」
あざみは、くり目で、幼く見えた。
「わたしは、ふみ。
十歳よ。」
ふみは、つり目で、きつく見える。
「私は、なぎさ。
十二歳。」
なぎさは、細目の綺麗な顔立ちだった。
「あたしは、ふじ。
十一歳。」
ふじは、一重の切れ長の目で、左頬にほくろがあった。
「わたしは、ちとせ。
八歳。」
ちとせは、猫目で、右手の親指の付け根に、ほくろがあった。
「私、はつね。
九歳。」
細目ののたれ目で、可愛い顔立ちだった。
「あたしは、あづま。
九歳。」
あづまは、つぶらな瞳で、右頬のほくろがあった。
「あたいは、いぶき。
十歳。」
細目のたれ目で、左の涙袋にほくろがある。
「わたしは、なつめ。
十一歳。」
二重のくり目で、幼く見えた。
「あたしは、ききょう。
十三歳。」
少したれ目で、色白で綺麗な顔立ちだった。
「わたしは、ねいろ。
十二歳。」
一重のたれ目で、口元左下にほくろがあった。
「私は、なつほ。
十三歳。」
二重のくり目で、幼く見えた。
「かがりです。
歳は、七歳です。」
「じゃあ、禿は、ご飯の用意しな。
かがりのも準備するんだよ?!」
禿達は、返事をした。
「かがり、次は、若い衆に挨拶しに行くよ。」
「はい。」
あたしは、おせんに連れられ、若い衆のとこに行った。
おせんは、若い衆を集め、挨拶させられた。
「この子が、「どこか行きたい。」と言ったら、そこに連れて行くこと。」
それを聞いた、若い衆は、返事した。
「かがりも分かったね?」
「はい。」
「じゃあ、行こうか。」
「はい。」
食堂に戻ると、もう、ご飯の準備が終わっていた。
禿達とあたしは、神棚の下に集められた。
「かがり。
禿は、この表を読んでから、朝ご飯を食べるからね。
みんなと一緒に、読むんだよ!」
「はい。」
みんなで、表を読んだ。
それから、もみじが、あたしの席を教えてくれて、朝ご飯を食べた。
「席は、いつもかわらないから、覚えてね?」
「うん。
ありがとう。」
朝ご飯を食べてると、他の姉さん達が、降りて来て、朝ご飯を食べ始めた。
朝ご飯を食べていると、姉さん達の話し声が聞こえて来た。
「新しい子が、入ったんだね。」
「ほんとだ。」
「綺麗な子やね。」
そこに、あおはが来て、話しに加わった。
「あの子は、今日から入った、引っ込み禿のかがりだよ。」
「引っ込み禿?1!
珍しいね。」
「でも、納得の綺麗な子だねー。」
「本当に。」
「将来が、楽しみだねー。」
「うん、うん。」
姉さん達が、話してると、あおはは、面白くないと言った顔。
「ねぇ、もみじちゃん。
何で、あおは姉さんは、怒ってるの?」
「あぁ、いつもは、あおは姉さんの話しで、盛り上がるから、気に入らないんだよ。
あおは姉さんには。気を付けて。」
「う…、うん…。」
「そう言えば、かがりちゃん。
引っ込み禿ってことは、自分の部屋があるはずだよ。
聞いてみた?」
「ううん。
聞いてない。」
「じゃあ、この後かな?」
朝ご飯を食べ終わると、おせんに呼ばれた。
「かがり、これから、お前の部屋に案内してやる。
ついて来な。」
「はい。」
あたしは、おせんについて行った。
「ここが、お前の部屋だよ。」
「はい。」
あたしは、中に入ってみると、大きな桐箪笥(きりたんす)と、長方形の小さな机と、ごみ入れ、布団に、雪洞(ぼんぼり)
、正面には、障子窓があった。
「すごーいっ!!」
あたしは、大喜びした。
おせんは、そんなあたしを見て、桐箪笥の中を見るように言った。
おせんの言った通りに見てみると、沢山の着物と小物が入っていた。
「わぁーーーー…。
きれーいっ!!」
あたしは見たことのない、綺麗な着物と小物に心を奪われた。
「そろそろ、掃除が終わる。
その中の着物から選んで、着替えて、楼主のとこに行きな。」
「はい。」
あたしは、着物を着替えて、一階にある、楼主のとこに行った。
「失礼します。
かがりです。」
「かがりか。
入れ。」
「はい。
失礼します。」
あたしは、楼主の部屋に入った。
「かがり。
着替えたのか?
よく似合ってるな。」
「沢山の着物と小物、ありがとうございます。」
「礼はいい。
お前の金だからな。」
「はい。」
「今日は、挨拶の練習だ。
おめぇさんは、近々、この吉原で、有名になる。
その時、ちゃんと、挨拶が出来ねぇと、この近江屋の顔が潰れちまう。
だから、挨拶は、厳しくいくからな?」
「は…、はい。
よろしくお願いします…。
(緊張する…。)」
楼主は、頷いた。
楼主の教えは、厳しかった。
あたしは、覚えるのに必死…。
「かがりは、覚えるのが、早いな。」
「ありがとうございます。
楼主の教えのお陰です。」
楼主は、「かかか。」と笑った。
「かがり。
おめぇさんは、良い子だ。」
「ありがとうございます。」
教えが終わり、楼主は、若い衆の一人を呼んだ。
来たのは、池田と言う人で、池田は、二十歳くらいのつり目で、きりりとした、男前だった。
「かがり。
若い衆と飯番にも、敬語はいらないからな?」
「はい。」
「池田、かがりを部屋に、連れて行け。」
「へい。」
あたしは、池田について来てもらい、部屋に戻った。
あたしは、部屋に入って、正面にある、障子窓を開け、少し、座れるようになっている所に、腰をかけた。
外を見れば、もう男の人が、歩いていた。
「(ご飯まで、ここにいよう…。)」
そう思いながら、桐箪笥の方を見ると、着物の切れ端が見えた。
「(えっ…。)
(あれ、何?)」
あたしは、桐箪笥に近付いた。
すると、着物が、ぐちゃぐちゃに、切り刻まれていた。
あたしは、固まった。
そして、切り刻まれた、着物を持って、おせんに泣きついた。
おせんは、すぐに、楼主に言いに行った。
楼主は、激怒。
「わしは、呉服商を呼んでくる。
新しい、着物を作らせるために。
おせん、お前は、犯人を探せ!」
「はい。」
「かがり、少し待ってろよ?」
「はい。」
楼主は、すぐに、呉服商を呼んできた。
「かがり。
好きな反物、着物、小物を選べ。
金のことは、気にするな。
犯人に、払わすから。」
「はい。」
あたしは、自分の部屋で、呉服商に反物を選ばせてもらった。
あたしが、選んだのは、高いものばかりだった。
「目利きが良いですね。
どれも良いものばかりですね。
こっちは、着物と小物です。
早急に、着物が必要でしょうから。」
「ありがとうございます。」
また、あたしが選んだのは、良いものばかりだった。
呉服商は、楼主にそのことを伝え、請求書を置いて行った。
あたしは、寝間着に着替え、晩ご飯を食べた。
あたしのご飯は、みんなと同じ、じゃが芋の煮っころがし、ほうれん草のおひたし、あたしだけに、冷奴、味噌汁だった。
姉さん達は、男の人と遊んでない時に、急いで食べていた。
あたしが、寝間着に着替えてるのを見て、ききょうと、ふみと、あづまは、顔が青ざめていた。
そのことに気づいた、おせんは、三人に声をかけた。
「ききょう、ふみ、あづま、後で、私の部屋に来な。」
三人は、益々、青ざめた。
三人が、おせんと話している時に、あたしは、部屋に戻り、眠りについた。
八歳だよ。」
もみじは、たれ目で、ぷっくり唇で、口元の右下にほくろがあり、色白だった。
「あたいは、あざみ。
七歳だよ。」
あざみは、くり目で、幼く見えた。
「わたしは、ふみ。
十歳よ。」
ふみは、つり目で、きつく見える。
「私は、なぎさ。
十二歳。」
なぎさは、細目の綺麗な顔立ちだった。
「あたしは、ふじ。
十一歳。」
ふじは、一重の切れ長の目で、左頬にほくろがあった。
「わたしは、ちとせ。
八歳。」
ちとせは、猫目で、右手の親指の付け根に、ほくろがあった。
「私、はつね。
九歳。」
細目ののたれ目で、可愛い顔立ちだった。
「あたしは、あづま。
九歳。」
あづまは、つぶらな瞳で、右頬のほくろがあった。
「あたいは、いぶき。
十歳。」
細目のたれ目で、左の涙袋にほくろがある。
「わたしは、なつめ。
十一歳。」
二重のくり目で、幼く見えた。
「あたしは、ききょう。
十三歳。」
少したれ目で、色白で綺麗な顔立ちだった。
「わたしは、ねいろ。
十二歳。」
一重のたれ目で、口元左下にほくろがあった。
「私は、なつほ。
十三歳。」
二重のくり目で、幼く見えた。
「かがりです。
歳は、七歳です。」
「じゃあ、禿は、ご飯の用意しな。
かがりのも準備するんだよ?!」
禿達は、返事をした。
「かがり、次は、若い衆に挨拶しに行くよ。」
「はい。」
あたしは、おせんに連れられ、若い衆のとこに行った。
おせんは、若い衆を集め、挨拶させられた。
「この子が、「どこか行きたい。」と言ったら、そこに連れて行くこと。」
それを聞いた、若い衆は、返事した。
「かがりも分かったね?」
「はい。」
「じゃあ、行こうか。」
「はい。」
食堂に戻ると、もう、ご飯の準備が終わっていた。
禿達とあたしは、神棚の下に集められた。
「かがり。
禿は、この表を読んでから、朝ご飯を食べるからね。
みんなと一緒に、読むんだよ!」
「はい。」
みんなで、表を読んだ。
それから、もみじが、あたしの席を教えてくれて、朝ご飯を食べた。
「席は、いつもかわらないから、覚えてね?」
「うん。
ありがとう。」
朝ご飯を食べてると、他の姉さん達が、降りて来て、朝ご飯を食べ始めた。
朝ご飯を食べていると、姉さん達の話し声が聞こえて来た。
「新しい子が、入ったんだね。」
「ほんとだ。」
「綺麗な子やね。」
そこに、あおはが来て、話しに加わった。
「あの子は、今日から入った、引っ込み禿のかがりだよ。」
「引っ込み禿?1!
珍しいね。」
「でも、納得の綺麗な子だねー。」
「本当に。」
「将来が、楽しみだねー。」
「うん、うん。」
姉さん達が、話してると、あおはは、面白くないと言った顔。
「ねぇ、もみじちゃん。
何で、あおは姉さんは、怒ってるの?」
「あぁ、いつもは、あおは姉さんの話しで、盛り上がるから、気に入らないんだよ。
あおは姉さんには。気を付けて。」
「う…、うん…。」
「そう言えば、かがりちゃん。
引っ込み禿ってことは、自分の部屋があるはずだよ。
聞いてみた?」
「ううん。
聞いてない。」
「じゃあ、この後かな?」
朝ご飯を食べ終わると、おせんに呼ばれた。
「かがり、これから、お前の部屋に案内してやる。
ついて来な。」
「はい。」
あたしは、おせんについて行った。
「ここが、お前の部屋だよ。」
「はい。」
あたしは、中に入ってみると、大きな桐箪笥(きりたんす)と、長方形の小さな机と、ごみ入れ、布団に、雪洞(ぼんぼり)
、正面には、障子窓があった。
「すごーいっ!!」
あたしは、大喜びした。
おせんは、そんなあたしを見て、桐箪笥の中を見るように言った。
おせんの言った通りに見てみると、沢山の着物と小物が入っていた。
「わぁーーーー…。
きれーいっ!!」
あたしは見たことのない、綺麗な着物と小物に心を奪われた。
「そろそろ、掃除が終わる。
その中の着物から選んで、着替えて、楼主のとこに行きな。」
「はい。」
あたしは、着物を着替えて、一階にある、楼主のとこに行った。
「失礼します。
かがりです。」
「かがりか。
入れ。」
「はい。
失礼します。」
あたしは、楼主の部屋に入った。
「かがり。
着替えたのか?
よく似合ってるな。」
「沢山の着物と小物、ありがとうございます。」
「礼はいい。
お前の金だからな。」
「はい。」
「今日は、挨拶の練習だ。
おめぇさんは、近々、この吉原で、有名になる。
その時、ちゃんと、挨拶が出来ねぇと、この近江屋の顔が潰れちまう。
だから、挨拶は、厳しくいくからな?」
「は…、はい。
よろしくお願いします…。
(緊張する…。)」
楼主は、頷いた。
楼主の教えは、厳しかった。
あたしは、覚えるのに必死…。
「かがりは、覚えるのが、早いな。」
「ありがとうございます。
楼主の教えのお陰です。」
楼主は、「かかか。」と笑った。
「かがり。
おめぇさんは、良い子だ。」
「ありがとうございます。」
教えが終わり、楼主は、若い衆の一人を呼んだ。
来たのは、池田と言う人で、池田は、二十歳くらいのつり目で、きりりとした、男前だった。
「かがり。
若い衆と飯番にも、敬語はいらないからな?」
「はい。」
「池田、かがりを部屋に、連れて行け。」
「へい。」
あたしは、池田について来てもらい、部屋に戻った。
あたしは、部屋に入って、正面にある、障子窓を開け、少し、座れるようになっている所に、腰をかけた。
外を見れば、もう男の人が、歩いていた。
「(ご飯まで、ここにいよう…。)」
そう思いながら、桐箪笥の方を見ると、着物の切れ端が見えた。
「(えっ…。)
(あれ、何?)」
あたしは、桐箪笥に近付いた。
すると、着物が、ぐちゃぐちゃに、切り刻まれていた。
あたしは、固まった。
そして、切り刻まれた、着物を持って、おせんに泣きついた。
おせんは、すぐに、楼主に言いに行った。
楼主は、激怒。
「わしは、呉服商を呼んでくる。
新しい、着物を作らせるために。
おせん、お前は、犯人を探せ!」
「はい。」
「かがり、少し待ってろよ?」
「はい。」
楼主は、すぐに、呉服商を呼んできた。
「かがり。
好きな反物、着物、小物を選べ。
金のことは、気にするな。
犯人に、払わすから。」
「はい。」
あたしは、自分の部屋で、呉服商に反物を選ばせてもらった。
あたしが、選んだのは、高いものばかりだった。
「目利きが良いですね。
どれも良いものばかりですね。
こっちは、着物と小物です。
早急に、着物が必要でしょうから。」
「ありがとうございます。」
また、あたしが選んだのは、良いものばかりだった。
呉服商は、楼主にそのことを伝え、請求書を置いて行った。
あたしは、寝間着に着替え、晩ご飯を食べた。
あたしのご飯は、みんなと同じ、じゃが芋の煮っころがし、ほうれん草のおひたし、あたしだけに、冷奴、味噌汁だった。
姉さん達は、男の人と遊んでない時に、急いで食べていた。
あたしが、寝間着に着替えてるのを見て、ききょうと、ふみと、あづまは、顔が青ざめていた。
そのことに気づいた、おせんは、三人に声をかけた。
「ききょう、ふみ、あづま、後で、私の部屋に来な。」
三人は、益々、青ざめた。
三人が、おせんと話している時に、あたしは、部屋に戻り、眠りについた。