「ひび……あの仕事してみたかったんだよな?楽しそうにしてたし、動画も喜んでくれた。なのに、どうしてまだ迷ってる?………断るつもりじゃないだろ?」
「……だって………それは………迷ってて……」
呼吸を整えながらそう言うが、千絃はその答えに満足していないようだった。
唾液で濡れた唇に親指で触れる。それだけで、響の体は震えてしまう。そんな様子を見て、千絃はクククッと笑う。
「…………仕事を受けると約束してくれ」
「え………」
「おまえがやると言わない限りキスを続けるからな」
「なっ!そんな事………っっ!!」
体がずるずると壁を伝いなが落ちていく。
千絃に両手首と顎を抑えられたまま、彼のキスを受けるしかなかった。
ようやく彼が離れた時には、「………やる」と、千絃に自分の体を支えてもらい弱々しく声を発する事しか出来なかった。