タイミングが悪いところを見られてしまったなと、思わず視線を逸らしてしまう。けれど、千絃とは恋人でも何でもないのだから、気にする事もないはずだった。それなのに、どうして罪悪感を感じてしまうのか響は自分の気持ちがわからなかった。
「ほら、迎えなんだろう?行っておいで」
「はい。いってきます」
響は和歌に小さく頭を下げると、和歌は小さく手を振って見送ってくれた。
小走りで千絃の車に近づくと、「助手席乗って」と、一言を残し千絃はさっさと車に乗り込んでしまう。彼の雰囲気がピリピリしているのが更にわかり、仕事を断りにくいな、と響は小さくため息をつき車に乗り込んだ。
「お迎え、ありがとう」
「あぁ……」
「あの動画どうして勝手にアップしたの?まだ、私はやるって決めてない………」
「その話は会社についてからだ。早くシートベルトつけてくれ」
「………わかったわ」
やはり何か怒っているようだったので、響はそれ以上何も言わずに座っている事にした。
怒っているのは自分なのに、何故彼がそんなにも機嫌を悪くしているのがわからない。こっそりと運転している彼を横目で盗み見るが、いつもの無表情だったけれど、やはり雰囲気が悪かった。
自分勝手なんだから、と思いつつ視線を他に向けると、響はあるものを見つけてしまった。