エピローグ
「売り切れ続出だって!」
「追加注文がすごいな……」
「雑誌の取材と、漣さんや声優さんへのオファーが増加してるみたいだよ」
社内はそんな幸せな騒動で皆が盛り上がっていた。
響もそのうちの一人で、自分が参加したゲームについてのニュースや書き込みなどを見つける度に、ついつい見てしまうのだ。
響がモーションキャプチャーの仕事を引き受けた、ゲームがついに発売になった。発売前から人気があると聞いていたが、発売日当日は店舗に並べればすぐに完売してしまい、予約者のみが買えたという話をきいた。今では普通には買えないため追加生産をして数日遅れての入荷待ちの状態だ。
そのため、人々の関心も高まり、ゲーム実況の動画の再生回数は高くなり、関連グッツは売れに売れた。
そして、主人公やヒロイン、人気キャラクターを務めた声優や、響にインタビューが殺到していたのだ。
そして、すでに続編を求める声もあった。
響に多かった依頼もある。それは他の作品でのモーションキャプチャーのオファーだった。
「さっきも有名会社からオファー来ましたよ。すごいですね」
「発売して少し不安だったのですが……やって来た事が認められたのは嬉しいです」
「そうですよね。初めてでこの反響はすごいから、自信を持っていいと思いますよ」
「作品自体がいいから……そこは私がすごく幸運だったのだなと思います」
「漣さんは自分の実力を低く見ているようですが、私や月城が認めたのですよ。それにオファーもくるぐらいだ。これからの活躍を楽しみにしていますよ」
「ありがとうございます」
関は「ここの会社に留まらずに、いろいろな所で経験を積んでほしい。そして、またこの会社とも仕事をして欲しい」と言ってくれていた。