37話「漣響は強くない」




 響と千絃は朝早くからカレーを食べていた。
 昨日の夜は何も食べずにベットに行ってしまったためか、朝になると空腹になってしまい、食べ損ねたテイクアウトのカレーを温めて食べた。響が「気になっているお店がある」と千絃に話した事があった場所で、彼がそんな些細な事を覚えていてくれたのが嬉しかった。
 「朝からカレーなんて食べられるか……?」と千絃は他のものを買ってくると言っていたが、「少し前に朝カレー流行ったでしょ?私は食べたいよ?」と、返事をすると千絃は渋々口に運んでいた。
 けれど、あっという間に間食していたので気に入ったようだった。


 「ご馳走さまー!おいしかったー。これで舞台も頑張れそうっ!」
 「……昨日の舞台本当によかった。おまえが指導したんだろうなっていう殺陣のシーンもいくつかあったし、響のシーンもかっこよかったよ。本当に打ち合いしてるみたいだったし、あの衣装を着たおまえも綺麗だったよ」
 「あ、ありがとう……千絃にそう言ってもらえると、とっても嬉しいよ。更にやる気出てくる!」
 「………もっと素直に応援しとけばよかったな……あの時間が勿体なかった」
 「え?」
 「………おまえの舞台、本当は楽しみにしてた。だから、意気込んでチケット買ったんだし」
 「………千絃」