返事に困ってしまう響を見て、ニッコリと笑うと「冗談ではないので考えておいてくださいね」と言ったので、更に響は戸惑ってしまうのだった。
「さて……仕事中なので、仕事の話をしなければならないですね。響さんに着ていただいているその着物を購入した理由ですが、こんど宮田さんと金剛さん、そして響さんとで公開直前のテレビの特集でインタビューがあるのですがそれに主演していただく事になったのです」
「以前お話していたものですね」
舞台に出演が決まった際に、インタビューをする時間を作る事で騒ぎにならないようにしたという話を聞いていた。そのため響が驚くことはなかった。それに、ヒロイン役である金剛と一緒ならば力強いとさえ思えた。
「その時に響さんにも和装で出て欲しいのです。2人は舞台でも使っている衣装を使うのですが、響さんの役どころは見てくれた人のみ知るようにしたいので真っ黒の衣装は来たくないのです。なので、宮田さんと金剛さんに合わせて和装にしてほうがいいと思って、今回準備したのですよ」
「そうだったんですね。舞台も和装が多いので、イメージにピッタリですね。ですが、インタビューだけのためにこんな高価なものを……」
「いいんですよ。今回だけではなく、また着てみせていただければ。もちろん、着付けは私も出来ますのでお任せください」
「………それは、その……恥ずかしいです」
「毎日着物を着ている私は綺麗に着付けられるのに残念です」