けれど、その気持ちは誘惑に負けてしまう。


 「わぁー!この黒蜜の餡蜜美味しいです!抹茶アイスとほうじ茶も合いますね」

 
 響は運ばれてきた餡蜜とほうじ茶のセットを堪能しており、感動で思わず声が漏れてしまった。
 和歌が案内したのは古民家を改装して作った平屋の和風カフェだった。歴史ある木造住宅と広い庭園があり、店内はガラス張りになっているため、外の景色を堪能しながら美味しいお茶やコーヒー、そして和菓子やケーキなどが楽しめるお店になっていた。店内は女性やカップルが多かったが、店員は皆男性のようだった。


 「ここの店は私の友人がつくったものなんですよ。だから、漣さんがそんなにも美味しく食べてくれたと知ったらとても喜んでくれるでしょうね」
 「そんな……でも、本当においしいので通ってしまいそうです」
 「そうですか。私も気分転換によく訪れるので会えるかもしれませんね」
 「そうですね。ここはお庭も素敵なので休憩には最適ですよね」
 「漣さんがこんなにもここを気に入ってくれたのならば、またぜひ一緒に訪れたいですね。……もちろん、今度はデートとして」
 「………和歌さん………」