26話「急展開」
しかし、穏やかな時間はすぐに終わってしまうものだ。
抱きしめられるように眠っていた響だったが、ピピピッと高い音で鳴る着信音に起こされた。もちろん、千絃も眠っていたが起こされたようで、モゾモゾと体を動かしながら、スマホが置いてある台まで手を伸ばした。
響が目を覚まして、彼を見つめると千絃は困った顔をして微笑んだ。
「悪いな。……関さんからだ」
「ん………」
響は、目を擦りながら彼を見て「ここで出ていいから」と言うと、千絃は頷き画面の通話ボタンに触れた。
すると、慌てた様子の関の声が少しだけ漏れて聞こえてきた。内容まではわからないが、あまり良い雰囲気ではないようだった。
「おはようございます。………はい。……………わかりました。響には俺が迎えにいきます、はい。大丈夫ですよ。上手くやります」
「…………」
彼の口から自分の名前が出てきて、響はドキッとしてしまう。響は心配しながら千絃を見つめる。その表情は少しずつ険しくなっていった。