「なるほど。その和歌とか言う作家と会うのが気まずいから俺の家に来たいって言ったんだな。響からそう言うのは珍しいと思った」
 「ごめんなさい。………でも、千絃と過ごしたいのも本当の事だよ?」
 「わかってるさ」


 響は、仕事帰りに千絃の家に来ていた。「泊まりたい」と彼に言うと、千絃は驚いた顔をした。響から誘うの事はほとんどなかったので、彼は何か理由があるとすぐに察知したようだ。
 一緒にお風呂に入りながら、今日の出来事を話す。響は彼の体に寄りかかりながら座って話す。千絃の表情は見えないけれど、彼が真剣に聞いてくれているのは伝わってきていた。


 「なるほどは………響を勧誘してきたか。きっと動画を見て、決めたんたんだろうな」
 「うん。自分を必要としてくれているのは嬉しいんだけど……自分が本当にしたいのかと思うと、まだわからなくて」
 「関さんが話したみたいにいろんな経験をするのをいいと思う。けど、それが気が進まないものだったら無理にする必要もないんじゃないか」
 「………うん」
 「それに、目の病気の事もあるだろう?危険もあるだろうし、ゆっくりする事も大切なんじゃないのか?」