「昔の方がいいなら、戻すけど………?」
「ううん。響がいいな………。ひびは幼馴染みの頃っていうか子どもの頃の思い出にする。響って呼んで貰うのは、恋人っぽいでしょ?」
関係性が変わると呼び方が変わる事が多いのだから、響も違う呼び方の方がいいなと思ったのだ。ただの幼馴染みではなく、千絃の彼女になったのだと呼ばれる度に感じられるのならば最高だと思った。
「そうか………なら、変わらず響って呼ぶ」
響の言葉を聞いて、千絃は微笑みながら響の頭をポンポンと撫でてくれる。響の想いをよく感じてくれたのだろう。
彼と過ごす日々は、新鮮で刺激的でもありながら、穏やかな時間でもある。
強くなる事だけを考えていた日々とは違って、ゆったりとした時間。
それもまたとても素敵な過ごし方だな、と響は毎日のように実感していた。