彼の手が突然響の頬に触れたので、響は体がビクッと震えてしまった。
千絃は少し目を開いて響を見ていた。彼に触れられただけで敏感に反応してしまったというのを彼に察知されないように、咄嗟に言葉を発した。けれど、焦っているから少し早口になってしまう。
「こ、これは……少し熱くなりすぎたから、冷たいシャワーを浴びたの!だから、大丈夫だよ。最近はとっても暑い、丁度いいから」
「…………確かに、丁度いいな。どうせ、今からまた熱くなるんだ」
「……ぇ………ん…………」
響が返事の声をあげる前に、その言葉は彼に唇ごと飲み込まれてしまった。
軽いキスを何度かすると、彼はゆっくりと響の瞳を見つめながら唇を離した。それでも彼との距離はとても近い。
「風呂場で気持ちよくなったんだ。これからの事を期待してただろ?」
「そんな事は………」
「俺は期待してた。………だから、今日はもう逃がさない。ずっと待ってたんだ。後はおまえを貰うだけだ」