響は千絃を何とか先にお風呂から出して、一人でシャワーを浴びていた。
「もう………千絃のえっち………!!」
響はお風呂に長く浸かりすぎたわけではないのに熱くなり火照った体に、少し冷たいお湯をかけながら、そう一人呟いた。
まさか、本当に全身体を綺麗にされるとは思っていなかっただけに、響は逃げてしまった。けれど、これからの事を考えてしまうと、響は体の奥がきゅんとなった。
そして、自分がこんなにも快楽に弱いのだと知って、ため息が出そうにもなる。
けれど、きっと響の事を待っているであろう千絃の元に、響は早く向かいたくて、シャワーの水を止めて浴室から出たのだった。
「………水。随分長く入ってたから、暑くなっただろ?」
「あ、うん……。ありがとう」
浴室から出ると、すでに千絃の大きめのシャツが置いてあった。それに袖を通すと、先ほどのボディソープの香りとは違った彼の香りに包まれる。それが、これから彼に抱かれるのだと改めて感じさせられるもので、また瞳が潤んでくるのがわかった。
それでも、必死に平常心で居ようと響はぐっと体の力が抜けそうになるのを必死で堪えた。
彼が準備してくれた水のペットボトルと貰うと、千絃はジーッと響の事を見ていた。
「………おまえ、体冷えてないか?」
「っ………」