何を言ってもダメだと思ったのか、千絃はスポンジを取り出して、そこにボディソープを垂らす。すると、そこから華やかな香りが浴室に広がってきた。彼はそれをお湯の中に入れると、泡を作り響の肩に当てる。
「え!?千絃……何でお風呂の中で洗ってるの?」
「おまえ、上がって体見られるの嫌なんだろ?だからここでやるしかないだろ?ここなら後ろからだし見えなくていいだろ」
「………そう、だけど………」
響は反論したい気持ちもあったけれど、それでも彼が優しくいたわるようにして体に触れてくれると、どうもくすくったくも心地がよく感じてしまうのだ。自分でもわかっている。
止めて欲しくない。そう思ってしまっていると。
「………ぁ………」
少し声が漏れただけで、風呂場に声が響く。それが何とも快楽的で、響は思わず自分で体が震えてしまう。そんな響に気づいている千絃だったが、何も言わずにゆっくりと泡を響の肌に滑らせていく。くすぐったさで鳥肌が立ちそうになってしまう。
「千絃。後は自分でやるから………」
「あと少しだから」
「恥ずかしいから、そこはダメ!」
響の敏感な部分に千絃の手が伸びそうになり、響は慌てて彼からスポンジを取り上げた。響が振り替えって睨み付けようとするけれど、目が潤んでしまい、全く反抗の効果はなかったようだった。彼は満足そうに微笑むと、ゴシゴシと体を洗い始めた響を面白そうに見つめていたのだった。